GMP省令改正は16年ぶり
2021年4月28日に厚生労働省は16年ぶりのGMP省令改正を行いました。
「医薬品及び医薬部外品の製造管理及び品質管理の基準に関する省令の一部を改正する省令」(令和3年厚生労働省令第90号)
同日にその逐条解説も発出されています。
「医薬品及び 医薬部外品の製造管理及び品質管理の基準に関する省令の 一部改正について」(厚生労働省医薬・生活衛生局監視指導・麻薬対策課長)
改正後のGMP省令はいつから適用?
改正GMP省令の施行日は2021年8月1日です。
GMPの役割
GMPとは Good Manufacturing Practiceの略で、製造業者に求められる適正な製造管理の基準のことです。
GMPの3原則は、
- 人為的な誤りを最小限に
- 汚染と品質低下の防止
- より高度な品質保証システムの設計
で、
誰もが安心して使える薬を作るために製造所が守る
誰がいつ作業しても同じ品質の薬を作るために製造所が行う
ための基準です。
品質保証(QA)部門の設置
省令改正のポイントの一つとして「品質保証(QA)部門の設置」が挙げられます。
第4条に追加になりました↓↓
第4条 製造部門及び品質部門
3 品質部門は、次に掲げる組織を置かなければならない。
一 品質保証に係る業務を担当する組織
二 試験検査に係る業務を担当する組織
品質保証(QA)部門の業務
品質保証部門は次のような業務を実施しなければなりません。
- 品質方針に基づいた製造所における品質目標を文書により定める。(第3条の3)
- 原料、資材及び製品の規格並びに製造手順等が承認事項と相違することのないよう管理する。(第5条)
- 製造、保管および出納並びに衛生管理に関する記録により製造管理が適切に行われていることを確認した結果を文書により報告を受ける。(第10条)
- 製造、保管および出納並びに衛生管理に関する記録により製造管理が適切に行われていることを確認した結果をロットごとに確認する。(第11条)
品質管理に関する業務;
- 輸入製品が、外国製造業者の製造所において、適切な製造手順等により製造されていることを定期的に確認する。(第11条)
- 外国製造業者の製造所が、その国における製造管理及び品質管理に関する基準に適合していることを定期的に確認する。(第11条)
- 上記2つの確認の記録を作成し、保管する。(第11条)
- 輸入製品について外国製造業者が行った試験検査の記録を確認するとともに、その確認の記録を作成し、保管する。(第11条)
手順書などに基づいて行う品質照査に関する業務;
- 製造工程並びに原料、資材及び製品の規格の妥当性を検証することを目的として、定期的または随時、製品品質の照査を行うこと。(第11条の3)
- 照査の結果を製造管理者に対して文書により報告すること。(第11条の3)
手順書などに基づいて行う供給者管理に関する業務;
- 原料等の品質の確保のために適切な規格を定めること。(第11条の4)
- 原料等の供給者について、適格性を評価したうえで選定すること。(第11条の4)
- 原料等の製造管理及び品質管理が適切かつ円滑に行われているかどうかについて定期的に確認すること。(第11条の4)
- 上記3つの業務に係る記録を作成し、これを補完すること。(第11条の4)
出荷可否に関する業務;
- 製品の製造所からの出荷の可否を決定する業務。(第12条)
バリデーションに関する業務;
- バリデーションの計画及び結果を文書により報告を受ける。(第13条)
変更管理関連の業務;
- 変更を行うことについての承認。(第14条)
- 変更の実施状況を文書で報告を受ける。(第14条)
- 製品品質への影響を再確認し、変更の目的が達成されていることを確認するための評価を行うこと。(第14条)
- 製品品質又は承認事項に影響を及ぼす変更を行った場合においては、当該製品に係る製造販売業者及び法第19条の2第1項の承認を受けたものに対して連絡すること。(第14条)
- 記録を作成し保管する。(第14条)
逸脱管理に関する業務;
- 逸脱したことによる影響を調査した結果について文書により報告を受ける。(第15条)
- 重大な逸脱が生じた場合、業務の内容を文書により報告を受ける。(第15条)
- 手順書等に基づき、逸脱に関して報告を受け確認した記録を作成し、保管し、製造管理者に対して文書により報告する。(第15条)
品質情報に対する業務;
- 品質情報に対する原因究明の結果並びに是正措置及び予防措置の記録を文書により報告を受ける。(第16条)
- 手順書等に基づき、品質不良またはそのおそれが判明した場合には、製造管理者に対して文書により報告する。(第16条)
- 品質情報に関連する製品に係る製造販売業者にたいする速やかな連絡、医薬品の回収の判断に必要な情報の提供等、所要の措置をとるとともに、措置に係る記録を作成し、保管する。(第16条)
回収に関する業務;
- 回収された製品の内容を記載した保管および処理の記録を文書により報告を受ける。(第17条)
自己点検に関する業務;
- 自己点検の結果を文書により報告を受ける。(第18条)
教育訓練に関する業務;
- 教育訓練の実施状況を文書により報告を受ける。(第19条)
まとめ
品質保証(QA)部門の業務は各条に散見されたので、見落とさないよう抜き出してみました。
リスクベースドアプローチをもとに、実際に扱っている製品やプロセスをよく理解して、それによって、品質保証の労力をバランス良くかけていきたいです。